タイトル:紅巾乱戦勃発 07

一美は、その事をいち早く感じ取っていた。実際、情報をいち早く集めていたからであって、自分たちがどう言った運命をたどるのかを、慎重に分析していた。おそらく、自分は、たくさんの中華族の人々から、指導者として担ぎ出されるだろう。そして、それから、どう行動するかによって、変わるだろうと考えていた。
それは、もし、他の場所で乱が起きたら、その対象として担ぎ出されてしまうのは、その代表者と言う事になるだろう。しかし、自分が担ぎあげられたら、自分たちが負ける事になる。
この時期では、まだ早いと一美は感じていた。
「この時点で、武力衝突に発展したら、我々の負けだ。」
と部下となった者たちに、言い聞かせるようにしていた。この時、広州などを防衛できる簡易戦闘機が完成し、それを見に行っていたのも、本来の攻撃が目的ではなく、これから起こるかもしれない騒乱に対処する為に、選んだ手段だったのである。
一美は、如何にして戦力を抑えながらも、生き残るかと言う事を考えていた。それは、勇策にも言える事だった。
しかし、戦闘機も最終的にはロボットに変形するもので、名前はヴァリキュリーと言うものだったので、いつかは防衛の枠を越えて、戦争にも使用してしまうほどの、機体に変化できるといった特徴を持っていた。
製造番号はVF251型と、VF195型と言う2種類、普通なら、前者が、士官兵卒が搭乗できる機体、後者が末端の兵士たちが使う機体である。それに加えて、「Zガンダムゼロフルクラム」と、「Zガンダムスカイフランカー」が、量産体制に入り始めていた。これにより、他の戦闘用ロボットも生産体制に入っていたのである。事実上、防衛の為だが、これが攻撃にも利用できると言う事を、理解していた上での生産であった為に、その存在が後で知られるようになる。しかし、この時点では、まだまだ噂の域でしかなかった。
それでも、一美はその運命で自分が決まると考えていた。それに考え方については近い路線を示しているラフェリアと紀子も、その運命が一美の一挙手一投足で決まると考えていた。防衛強化を狙ったものであって、攻撃も範囲内に入ってしまっている為に、この誤解を、どう解消するのかを考えなければならなかった。
しかし、それはあくまで、万が一の時に対応するものであり、それ以外には、隠す事が必要だと感じていた。

所で、多くの反乱がおきている中華地域、その北側にも反乱の火は起こっていた。それはモンゴルである。このあたりでもケレイト等の部族が反乱を起こしていた。その知らせを一美は聞いており、そこに対してどうするかを、考えるようになっていた。
その為に、商団の商取引にも変化が起きていたそれは、武器の輸出入に対しての規制が強化された事にあった。一美は、いち早くその事実を聞き、その変化が、大波側でも起きている事を察知していた。なぜなら、武器輸出規制強化と言うのは、取引をしてしまえば、その時点で商団が罰せられる事を意味する。
それに、武器輸出は国家的な法律の中では一番厳しいものだ。それが、明らかになれば、お取りつぶしも覚悟しなければならない。
北田商団は、そこのところをうまい具合に、わたってきたのである。だからこそ、この事態をうまく乗り切ることが求められていたのである。しかし、一美の父武彦は体調を崩しており、一美が全てを取り仕切るしかない状況になっていた。それゆえ、非常に重い責任を背負う事になったのである。
と言う事は、今の事態を考えれば、中華族が立ちあがるほど重要な出来事と言えばよいと言えるだろう。しかし、ある点で言えば、危険な部分もある。ひとたび、混乱が起きれば、空中分解する可能性もある。この為に、混乱を鎮めるとしたら3年ほどかかると一美は考えていた。

そんな中、小柴兼人と原一光は、道源寺宗治と共に、生産拠点の工場を回っていた。だからと言って、船は商船として登録しているし、商船がこれ以上多くなると、売買の為に建造していると、うそぶけばよい事であった。だから、これをどうするかは、一美に一任されるのであった。
それゆえ、実際どのようにして、保管しておくかをそれが問題となる。もし見つかったら、大事になるのは確実であり、それを防ぐ上で、話し合っていた。
「しかし、兼人殿に聞きますが、船は50隻ほど計画されており、25隻ほどが、福州に送られると言うそうですね。」
と一光が確認するように聞いてきた。
「そうだ。ただ、一様商船として、売り払う。」
宗治はそう言って、帳簿を閉じた。確かに、商船として売る先は、限られている。海南、厦門、福州の3か所になる。この3か所には、勇策達が拠点を構えている所である。それが、主な売買先だろう。
所で、勇策達はどう考えているのだろうか。勇策に文を出す事にした。勇策は一美の文をじっくり読んでみた。
「一美様、このような事を考えたのか…。」
と呟いた。
「防衛とはいえ、100隻のうち25隻を配備すると言う事か…、外洋と陸上に配置せんが事ね。」
と次に呟いた言葉に、勇策の顔には笑みが浮かんだ。
(一美様の考えは、防衛ではないぞ。これは投資だ。)
なぜ、投資なのか、それは多くの中華族が決起する中で、バラバラに行動していると言う事を見抜いた一美が、それを一つにまとめる為に放った策であり、一美の地域に軍艦を押しとどめておくのではなく、それぞれの地域に商船を配備し、いつの時でも、攻撃態勢を作れるようにすると言う意味を持たせたのではないかと、勇策は考えたのである。その意味で、これが、投資だと勇策が見抜いたのであった。
「確かに、貯めておけば、力になります。それを考えての事でしょう。」
と梢も、勇策の考えに同調していた。この貯金が、海戦に強くなっていくきっかけを作っていた。

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