タイトル:紅巾乱戦勃発 08

その後で、どうなるのかは分からないが、一美たちが成し遂げる為にやろうと思った事があった。それは、多くの艦船などが製造されている中で、どうしても部隊員の育成だった。それが、どう言う意味を示すのか、一美には分かっていた。
この所、多くの人物が集まるようになり、どこかの部屋を借りるしかないと、一美は考えるようになっていた。事は、子供たちの枠を超え、大人たちも巻き込むようになっていた。
確かに、武彦の考えと一美の考えは、一致している部分が多く、進めやすかったこともある。それ以外に、武彦自身の病気が影響していたのも、ある意味で、一美を成長させる機会を与えた。
それが、一美がいち早く、君主として自立しようとしていたのである。一美は、多くの時代の中で、最も逞しくなった理由は、ここにあったのである。
いち早く、何が求められるのか、それを理解していたのである。だから、多くの民が求めるのは、今までの中華族が政治を握るだけではなく、多くの人々が政治に参加できると言う社会を造ると言う事である。
だからと言って、重役たちはそう言う事に至って、深い関心を示さなかった。なぜなら、そう言う事をしても、どうする事も出来ないと言うのである。つまり、反乱を起こせば、財産凍結は目に見えている。
それが、しれていると言うのではなく、真面目な話である事が分かっていたのである。だから、それを防ぐにはどうすればよいのだろうか、多くの対策を、立てなければならないと、重役たちは次々に述べたのである。
「だからと言って、この事態を見過ごすわけにはいかない!」
一美は、一喝を出したのである。それゆえ、全てが静まり返ったのである。一美たちが、これからやろうとしている事、それから、その事をかぎつけようとしている人物もいる。
しかし、どうしていけばよいのか、重役たちは、この小娘に言わせた事を、どう処理すればよいかと考えていた。
友沢宗徳はどう考えるべきか、迷っていた。そして、その事を武彦に相談したのである。
「一美様は、どうしてなのか分からないのですが、一美様は、この歳で、御代りになられたと思う人がほとんどです。」
実は、もうそろそろ16歳になるのである。しかし、この年で、大事を言うのは、世の中の先を、見据えていると言うものだった。
「一美らしい。だからと言って、一美は、今まで得られた知識から、何かを考えておきたい。そして、新しい世の中にしていきたいと考えているのだ。だから、彼女を修正できるのは宗徳のほかに、大種光弘、和磨允人の2人で支えてくれ、もし、私がいなくなったら、君たちが支えてくれ。」
武彦は、そう言った。
「殿さま! なんて事を言うのですか!」
宗徳は、武彦に弱気になるなと、言う意味を込めて、言葉を口にした。だが病人は、そう言う事を口にしやすい。それゆえ、どうしようもなかった。それゆえ、一美は重い役を背負って、戦っていたのである。

宗徳は、その2人に会って話をしてみた。
「殿さまが、そんな事を言っていましたとは…。」
大種光弘は、考え込む顔になっていた。和磨允人も、同じようなものである。
「だからと言って、このような事を考えている人はいないでしょうか?」
と允人は疑問を口にした。
確かに、今までの考えでは、通用しない人物が、新しい歴史を作っていると言う、そんな話は耳にする。例えば、織田信長、坂本竜馬などは、常識にとらわれない生き方をした人物と言うのが、その考え方にはあったようである。
だからこそ、武彦は、その事が頭にあったのではないだろうか。宗徳には、そう思えてきた。一方、噂されていた一美は、ネギの所にいたのである。

一方、兼人達は、独自に広州の州政府に掛け合っていた。
「何としてでも、防衛面の強化をしないと、何時何処で反乱が起きるのか、全く分かりません。それにおいて、一美様の力は、必要かと存じます。」
熱心な説得も、州政府の役人には、耳を貸さないもようである。それより、気になったのが監視の役人の目であった。
それで、監視役人の目を外して、兼人達を誘導した。
「ここでなら、話はできる。今の状況は悪い方に傾いている。これは、監視役人の買収によるものだ。だが、これを何とかしているのは、君たちだけだ。頑張ってくれぬか!」
頼み込むような言い方をしたが、監視役人の目が気になるのか、この状況でなかなか、いい返事が出来なかった。なんとかして、法律を逆手に取ることはできないか、一光は、そう考えていた。
宗治は、大金をつぎ込んで、貴族の邸宅を回り始めている。それに対して、何の効果も出ないままだったのである。
3人の取り組みは空振りに終わった。
「どうしたの?」
そう声をかけて来たのが、新次郎だった。
「空振りに終わったのか、まあ、今の状況では、難しいかもしれない。」
新次郎は、この状況を冷静に見ていた。そして、今の状況では、彼らの説得は難しいと考えていたのである。
「確かに、今の状況は難しいと、言えるでしょう。ですが、彼らも分かってくれるはずです。」
その言葉に、新次郎は頷いている。
「まあ、『石の上にも3年』ということわざがあるが、待ってみよう。それで、何もなければ、彼らの説得をあきらめるしかない。」
そう言うしかなかった。確かに、状況は悪方向にある。広州を手放そうとしない「大波」政府、そして、それに関して独立しようとする広州、この対立が、大きな変化をもたらしていた事は、言うまでもなかった。
それは、広州の州政府が、大幅な隔たりが生じていた事である。実は、今まで「大波」政府は、高い運上金を貸していたが、さらに税金をかけようと考えていたようである。
その為、利益のほとんどと言える98パーセントが、国にわたってしまう為に、これでは、国民がより一層、苦境に立たされると、広州の州政府は警鐘を鳴らしていた。
その為に、その税率を架すくらいなら、脱退するのが常とう手段だと、彼らは思っていたのである。こうして、広州の州政府の動きがあやしくなり始めた。
標的として、狙われ始めたのが、監視役人である。この監視役人が、イスラム教を信じる人物と言う理由があったが、この人物も、政治と宗教は別々に考えるべきだと、考えていた人物であった。
故に、彼は今回の行動に対しては、自制を求めようとしていたのだが、考え方はむしろ、下級役人の方に近かった。
故に、彼の考え方に、異を唱える役人は、多い方でありその監視役人が、特殊とも言える人材に属していたと言える。
だから、彼自身が、二つの勢力からにらまれ、板挟み状態に陥っていたのも事実だった。それゆえ、両方の仲介役に回ろうとしても、できない上、命を狙われる事態も考えなければならなくなっていた。
その監視役人の名前は、アブドラ・ジャラム・サイファと言い、スンニ派ではなく、シーア派のイスラム教徒であった。
そのサイファが、6月に入る前に、監視していた役人に暗殺されると言う事態が起きた後、広州の州政府は、監視役人の一斉捕縛に着手するのである。その暗殺事件が起きたのはP.W.1610年5月20日、一美が、高校生活に入ってから、ひと月たったころの事だった。

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