タイトル:紅巾乱戦勃発 13

その頃、一美は、対策案を話し合っている段階だった。そう言う点で、その点で様々な意見が出されていた。その為に、色々と議論が沸騰していたのである。
その理由は、多くの考え方を一つにまとめていく為、多くの商団員から意見を集め、似たものを一つの意見としてまとめ、それを、もう1つの意見と比較して、それをもとに調整すると言う事をやっていくのである。
それには時間がかかる仕事であった。それゆえ、新たな意見と、その意見とにどれだけの開きがあるのかなどなどを、慎重に調べてみると言うだけでも、労力を要するのであり、その後で、最後にもう一度、全ての確認みたいな形であるが、その考え方を書き留めるのである。それが、またまた、時間がかかった。速記の秘書がいるのだが、もとの字に直すのに、時間がかかったからだ。
「これで、何時間かけて、ここまで達する事が出来たか…。本当にしんどいぞ、これは…。」
一美の一言が、その困難さを物語っていた。しかし、それを多くの助けを借りて成し遂げたのである。
まず、一つ目の共通目標は、政治主導権を中華族に引き渡す事、二つ目の共通目標は中華の完全統一という目標だった。
その二つ以外にも、政教分離も加えられ、続いて民族平等の概念が新たに加わった。その為、民族差別もなくそうという意識も高まったのである。
「と言うより、他に意見がなかったのかどうかが分からないのですが…。」
不安を口にする穂積をよそに、多くの家臣たちは、具体的な政策の調整を行っていたのである。
「この政策は、我々で行う方が良いのではないか?」
と言う意見が出てきたりして、一様に収拾がついているか分からなかった。
しかし、骨格はどんどん出来上がっていた。その中身は、多くの政治制度を活用し、多くの民衆を生の豊かな方向に導くと言う事であった。
それで、それを箇条書きと内容文にして発表したのである。
それを書き始めると。次のようになる。
一. 中華のほとんどで行われている宗教弾圧を徹底的に批判し、それによって、宗教に寛容な国づくりをする事。
二. 中華の多くの人々が主役となる国家づくりを提唱する事。
三. 商業でも、平等な取引が行えるように制度を充実させる事。
四. 海外渡航などを、活発化させ、多くの文明を生む土壌を作る。
五. 今までの身分制度を大幅改正し、イスラムの民との差別も同時になくす事。
六. 海外交易に関する協定も大幅に見直す事。
七. 以前の風習などについては、非干渉とする事。
と言うものであった。
その覚書を手元に、一美たちは広州の州政府に掛け合う事になる。それが、広州が歩む道となっていくのであった。
それは、後に中華に広く浸透していく。その中でこの会議に参加していた宋朱蒙、崔秀万、田光袁は、自らの意見を述べていた。まず、朱蒙は、
「チョソンでも、この国でも同じですが、別の民族の支配に、耐えられるでしょうか?」
確かに、それは言える事である。コリア地域も同じ事になっているのであるのにもかかわらず、何も進展がないと不満を口にしているのと同じ事だ。それに対して、兼人は、
「確かに、この状況よりもっとひどいのは、彼の地域であることは承知しております。しかし、私たちの所から金なければ、その波は、彼の地にまで届かないと考えています。だから、その為に、我々の土地で実践し、それを広めるのです。」
と述べた。
それは、そうだと言えるだろう。今、コリア半島に行っても何もできない。それから出る結論が、兼人の述べた事だと言える。
崔秀万の場合は、
「もしも、多くの国が『大波』に対して、同じ感情を持っていたとするなら、それを利用する事が必要かと考えられるのですが。」
確かに、多くの国を巻き込めば、大丈夫と言う部分があるだろう。しかし、多くの共通項を把握しない限り、それができるかどうかは難しい。それに答えた新次郎も、
「確かに、共通の目標のある国家を巻き込めば、良いのですが、それが出来ないので、困っているのです。まず、その前に足元からじっくり固めて、そこから、国々に働きかけていくことが必要かと…。」
と、まだまだその段階にないと述べるしかなかった。
確かに今は、その状況にはない。しかし、ある程度の候補はいると、述べた。
「おそらく、南と北に1か所ずつ、その可能性のある国はありますよ。」
ただ、名前を聞くのは、あまりよろしくないと考えて止めた。

その頃、多くの兵士たちを集める為に、幹部となった者たちが、電光掲示板に「兵士募集」の張り紙をしていたのである。それに多くの人々が反応し、入隊を希望した。その中に、結城遊馬もその1人である。だが、この時、反応を示しているが、だからと言って、この時の彼は、何を考えればよいのか迷っていた。
どう言う事か…、それを聞いていた。2人が、面白いと考えていたのかもしれない。
それはそうだと言えるだろうかと考えるのだが、なぜ、今頃にこんな事をするのかと、言った事も頭の中にあった。1人で見てみると、何の変哲もない啓示である。
しかし、今の状況から言えば、この啓示に目を止めるのは、珍しいと言うのではない。この啓示は彼にとっても、多くの人々にとっても、意味のあるものだった。
今まで、兵士たちを強制的に選んだ州政府が、このような啓示を出してきたとは…、おかしな話だと、人々は思っているのだろう。
しかし、この事を啓示に書き出したのは、理由があるのだと、人々は思ったのだろう。
そこで、多くの人々は、その集合場所に集まった。遊馬もその中に含まれていた。どうすればよいのか、文字通り、まな板の上の鯉である。
そして、その審査ならぬ、登録に関する説明書きが掲示されていた。その掲示内容を、ここに抜粋して記すと、
〈本日、ここに足を運び願いましたるは、人々の安泰と国を守るための兵を募っている事でございます。
 この国は、『紅巾』が暴れまわっており、その『紅巾』から人々を守るために、組織するのが今回の 軍でありまする。
 故に、多くは商団護衛兵として登録の上、そこからの出向と言う形で配属されまする。
 この事を理解したうえで、サインをよろしくお願い申し上げまする。
 恐々謹言        北田商団 代表 北田一美〉
とあった。
どうして、このような事をするのか、遊馬は考えてしまったのである。
しかし、一美たちにとっては、兵士たちを増やす事によって、自分たちの生活を、守るという意識を植え付けたいという思惑が、にじみ出ていた。これが、誤解を受けようと一美は、思ってもいなかった。

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