タイトル:紅巾乱戦勃発 15

この4か所で、2万人の人々が、実質的に徴収と言う形ではなく、自らの意思で集まってきた出来事には、マスコミや、他の州からも注目の的となっていた。その頃、朝廷では、この2万人の兵力問題が、影を落とし始めたのである。これは、反乱になるのではないかと、そして反乱軍は、勢い余って、首都になだれ込むのではないかと、しかし、それぞれの州政府は、反乱軍から自らの土地を守るためと言う、防衛を強く歌っていた。
しかし、中華族が中心となると、事態を悪い方に考える家臣たちが増えていく事につながる。ただ、断定は危険すぎるし、様子を見るのが妥当ではないか。それが家臣団の一致した結論だった。
確かに、それはそうだが、他の地方では、その事が誤解を生むと言う事を知っていて、それが出来なかったのかもしれない。
防衛に回す軍隊を、新たに徴収すると言うのは、危機感を持っている事を意味している。それだけではなく、『大波』政府の今の政治の状態に、危機感を抱いていた。
だからこそ、自分たちで防衛すると言う事を考えるようになったのであるから、これは、尋常ではないはずと考えている事に等しい。それほど、「紅巾」は、恐れているものなのか。
第一に、自分たちの昔の国を再現しようとしている軍団のはずである。それが、人々から恐れられるのはどう言う事だろうか、その軍団の気風の乱れが、人々を遠ざける原因となっていた。
例えば、強姦、強奪などやりたい放題だったのである。だから、人々からは嫌われ者となっていたのだ。それゆえ、大将もだらしなく、部下の鏡を為していなかった。何せ、女好きだったのだ。
1人の女性に手を出し、それを巡って争いが起きたと言う例もあったのである。それほどだらし無かったら、それは将兵たちにも当てはまったのである。
それだから、協力をすることはなかったのである。だから、反乱は下火になりかけたのである。しかし、それに染まっていない地域が、広州、福州、広西チワン、香港、雲南、益州の6地域と言うものだった。
其の6地域が、自らで防衛網を築くために、兵士たちを集めていたのである。これは、大動乱の予兆が現れていると言う事を如実に表していた。
一美は、その状況を、深刻な状況にある事を、理解していた。だから、状況は切羽詰まった方向にあると、一美は考えていたのである。

それで、一美は、その事について、情報を必死に集めていた。それには、情報が多く集めていたのである。だからと言って、片端から情報を集めていたわけではない。実は、多くの情報を分別している、情報局的な部署が立ちあがっていたのである。
それにおいて、情報を生かすにはどうすればよいのか、それが、一美たちが直面していた事そのものだった。
「情報はすべて、多くの機関から流されている物があり、そのすべてを、如何に把握するか、それが問題となるだろう。」
確かに、それがどうなろうと、関係ないとは言いきれていない。だからと言って、どのように対策を取ればよいのか、それを探していたのである。
「それで、何があるか分かったのかな?」
「確かに、それで今回の事件で、戦いに落ちてどうするかを考えるべきでしょう。」
兼人は、この反乱を好機と捕らえると言うのが、
「だからと言って、反乱軍に加担するのではなく、反乱軍から身を守るにはどうすればよいのかを、思案する事が必要だ。」
一美はあくまで、防衛という観点に立っていた。防衛としても、どこまでの範囲を守るべきなのか、それが課題となる。しかし、以外にもその点については、一美の父、武彦が答えを出してくれた。
「それなら、私とおじいさんに任せてくれないか?」
調子が悪いと言っておきながらも、彼自身は、
「娘の頼みだ! 私も老体に鞭打って…」
と言いかけた時、
「そなたが老体なら、わしは大老体じゃ!」
と祖父の武信が、ツッコミともとれる言葉を吐いた。
「そう言うなら確かに、そう取れまするなぁ!」
と笑いこけてしまった。それに対して一美は、
「お二方の、志に感謝いたします。しかも、今の我々に必要なものは、人材です。それゆえ、この事態に対して、どのように対応するべきかを、見据えてください。」
一美は、勇気を得たようであった。
「そうか、今の状況では、手を打つのは今でしょう。ですが…。」
と一美は、言葉を切った。
「今は、その流れが悪いのです。だからこそ、身をひそめる事が大切です。それゆえ、今、行動するのは禁物です。」
一美は、そう付け加えた。だからと言って、今の状況は、どう転ぶのか、分からなかった故、きちっとした流れを見据えて動く事が重要だと、一美は考えていたのである。

それは、福州でも言えた。勇策と啓宗も同じ考え方で、動いていたのである。だからと言って、それからどのような方向に移っていくのか、それを注視しようと考えていたのである。
「おそらく、我々が立ってしまうと、妙な誤解を受けかねない。それが、『大波』政府の本当の狙いだと思う。」
このように切り出したのは、直胤だった。
「確かに、それは、言える事だ。だから、それを考えるのに、今も苦心している所だが、敵を欺く上で軍師はどのように考えているのかが問題となる。」
と啓宗は答える。確かに、孫嬪は如何にして考えているのか、その問題に対してどのように向き合っているのか、
「私は、この時点では動きを見せないのが肝要です。その上で、州政府と協議をして、巧みな外交戦術を駆使して、国家政府を欺く事が重要になると、私は考えております。」
外交戦術では、相手を欺けると言うのは、少し飛躍しすぎではないかと、直胤は考えていた。なぜなら、『大波』本国政府も、巧みな外交戦術を駆使する外交官が存在するからだ。
「山の如く動かず、ただ耐えるのみか…。」
ようやく、勇策の口が動いたものの、無言のまま、友の話に耳を傾けていた。そして、
「動かないとなれば、彼らの視点に立って考えてみることも必要だと思う、それが抜けてしまうと、相手のつぼにはまってしまうぞ。」
と諭すような言い方をした。
「しかし、どうやって?」
啓宗が、疑問を口にした。確かに、どのようにしてこの難局をくぐりぬけるべきか、
「広州にも言える所だが、広州、福州とも貿易港としての役割が重要となっている。つまり、一番のドル箱を抱えていて、同時に経済的なアキレス腱にもなっている。この二つ港を失えば、上海だけで、政府は食っていかねばならない。」
それは、言えているものだ。福州と広州が外れれば、『大波』は苦しくなるのである。それを考えてみると、乱は手に負えないものになる、と勇策は考えていなかった。
『大波』政府は、考え方を変えていけるだろうと、期待していたのである。しかし、それは、変わる事がなかったのである。つまり、頭は変わらず。法も変わらず、と言う事になってしまったのである。これが3年後に、一美たちが福州で立ち上がる「口実」となったのである。

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