タイトル:『紅巾』軍との対決 03

それに対して、徐州を包囲していたアブドラ・アル・シラム・ムハンマド軍に、一美たちから次なる知らせがもたらされた。
それは、彼らを絶望させられたのである。それは、上海が陥落したのである。日付は9月19日になったのである。最悪の結末を知らされて、アブドラは、愕然としたのである。これは、上海の陥落自体が、彼らに大きな脅威を与えられたと言う事になる。これによって、彼らはどうなるのか分からない。だからこそ、一美たちには、急がなければならない。
それを考えていたのだが、その上海について、どうして、陥落したのかを、4日前に戻って、詳しく検証しておきたい。
まず、急な暴動が起きた上海では、多くの市民が暴徒と化してしまった。それは、翌9月16日にも続き、まるで、無政府状態に近い市街戦が展開されていたのである。その市街戦は、大量の兵士を動員するほど、混乱していたのである。商店にある物が、ほとんどこれによって、失われ、兵糧は一気に底をついたのである。これによって、軍の士気が一気に地に落ちてしまい。それで、何もできなくなってしまったのである。
それから、なんとか3日間持ったのだが、この暴動が大きかったのか、ついに限界点に達してしまい。降伏したのである。それに、内部の開城の動きを取った市民が、守ろうとする市民と衝突し、これを糧にして『紅巾』軍が攻め込んだと言うのである。
この知らせを聞き、アブドラは次のような危機感を持つに至った、徐州に取って返した『紅巾』軍の返り討ちにあうのは、当然の事ながら、これによって、『紅巾』軍の勢いが強くなり、南に攻めるか、北に攻めるかによって、変わる可能性がある。だから、この時点にて、一美たちは早く、『紅巾』軍を崩さなければならない。しかし、それが出来ない中で、この知らせを聞くとなると、一美はつらい立場に立たされたのである。
それに本人は、その事をどう思っているのか…。

一方、その本人は、「明倫」の隊長となる、明倫組織長に会っていた。その人物の元には部下が4人ほどいた。1人は、野上宗朝であり、彼が副官である。実は、後に長官になるのは、野上宗朝の方であって、伊須磨射宗兼はその後、副官が生に会っていると言い、自らその座を譲っているのである。
それは置いておいて、そのほかの3人の名前はそれぞれ、野上宗朝から紹介をしてもらうしかない。
「左から、高崎信利、今川健介、長瀬楓と申しあげるものです。彼らが、各々、交渉に出向いてもらおうと考えております。」
このうち、長瀬楓は若干14歳の少女で、他の2人も二十歳に近づくような年齢であった。
「とにかく、今は、『紅巾』を崩す為に、君たちを呼んだのだが、上海が陥落し、大変な事になった。これから大変な事を成し遂げてもらわなければならないが、彼らについての考え方と我々の考え方を、できるだけ突き詰めて、どこで折り合うかを調整する事が求められる。それゆえ、決して旅の途中で、死ぬことはしないようにそれが、求められるぞ。」
きつい口調で、3人に対して、忠告をした一美は、3人の瞳を凝視し、その為す事が何かを諭すような表情になっていた。
それより、この3人が、どう言った形でそれぞれの勢力を取り込むか、それが3人の腕の見せどころであり、彼らにとっては引き返しのできない仕事だった。特に、長瀬楓は若干14歳と中学2年生に相当する年齢ながら、大役を任されたのであり、そのプレッシャーやストレスは、非常に重いものに感じていた。
だから、やり遂げようと言う気持ちにもなったのである。それに、この国をいち早く戦乱の炎から救い出さなければならないという志もあった。3人以外にも人員が2人ほど就いて、交渉に当たると言う事が決まっていた。その交渉役に当たったのが、小田川雅夫と鹿島新次郎だったのである。
この2人に、補佐を頼み3勢力の崩しに入ったのである。それが、はたして吉と出るのか、それとも凶と出るのか、それがまだ分からない。

それより、上海の軍が、上海を明け渡した事に因り、徐州にいた本体は、許昌コロニーに引き上げてきた。完全な敗北だった。上海のみならずその一帯の都市が、敵に渡ったのだから、この事態をどう考えるのか、それが気になる所であった。
一美たちは、徐々に敵を崩そうと対策を練っていると報告があった。それに、アブドラは期待をかけていたのである。
一方、福州では、野武幸と、現場責任者である小泉猛、七瀬日花里たちが、高田勇策、小寺啓宗の元に集まっていた。もちろんの事ながら、孫嬪、高志紀子の軍師も、話し合いに参加している。
「おそらく、その3勢力に、本部との対立があるとしたら、そこを突いて、ひと泡吹かせる事が出来ればよいのですが、どこを一美様は狙っているのでしょうか?」
と幸が聞いてみた。幸に質問を振らされた啓宗は
「それが、手紙から読んでみますと、温州、南昌、鄭州に交渉をして行くと言う事だそうです。それで考えてみますと、この3勢力に関して、どうするかを考えているのではないかと、考えられます。」
だから考えてみると、彼らは一美たちが何をどうするのかを、じっくりと見つめて、判断しようと考えていたのである。
それが事実なら、彼らはどうしようと考えているのか、それが分かればよいのだが、それを考える多くの部下たち、それに孫嬪は、
「彼らは、考えている事からして、我々の戦い方を調べ上げているのではないでしょうか。それに、彼らの考え方が、『大波』の安定を前提としているのなら、彼らは、『紅巾』軍の壊滅は必ずと言っていいほど、狙っていると考えられます。故に我々が、どうやってこの難局を乗り切っていくか、これが、大きな問題と言えます。だからこそ、彼らの考え方に潜り込むべきです!」
と孫嬪は、決意を促した。つまり、援軍を送り込む事が求められるのである。
それだから、一美は色々と考えを働かせないといけないのである。それで、一美が取った行動は、3つの小さな勢力を崩す。その交渉役の人物たちが、交渉の場所に向かったのである。彼らは一体どうするのか、それに一美は考えていた事があった。
それは、鄭州にいる1人の友人に、一美自身が頼もうと思った事だった。その人物の名前は、大永竜太郎と言う人物の商人だった。彼に頼みたいと言う事は、何かと言うと、
「一美様の言う、大永竜太郎と言う人物とは、いかなる人物でしょうか?」
と日花里が疑問を口にした。それに勇策は次のように答えた。
「大永竜太郎は、鄭州コロニーで、鄭州『大永商団』の代表で、彼らは、広州で産出しているか、または広州を経由して来る商品を取引する仲だ。そして、鄭州に根を張る軍事件も持っている。…つまり、彼らを動かしていく可能性もないとも言いきれない。鄭州の『紅巾』勢力をけん制して、彼らを壊すか、交渉をする為に足がかりにする為にか、一美殿の考え方は、おそらくだが私の考えより、大きいのかもしれない。」
勇策はそう言ったのである。一美は、鄭州の友人に何をさせるのか。それはが問題だったのか。

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