タイトル:『紅巾』軍の対決 21

そう言った中で、霞と絢音を中に入れて、一美は紗奈と話し合う事になった。これがいったいどう言う事なのかと、一美に聞いてみた。
「クリフと礼賦安を体の変化を利用して、気の流れで、眠らせてしまい。次に、サーチライトを見事かいくぐり、それでわたしの前まで来たが、そこで、運悪く、凛に見つかった。だが、そこからが、此紗奈殿の能力だ。その能力は、私の部屋の扉を開けた事だ。」
凛が、一体どう言う事なのかと、そう言う表情をしていたのである。
「一、気になる事がございます。なぜ、彼女は一美様の部屋の扉を開ける事が出来たのでしょうか。あの時、彼女は私に剣を突き付けられているのです。それに対して、彼女がなぜ、戸を開けたのでしょうか?」
一美には、分かったような気がしていた。それは、一美の意図いない魔法を操る能力が、紗奈には備わっていた事に繋がっており、それが、紗奈の能力であると考えたのである。
しかし、突然。
「一美様の考えている事は、おおむねあっておりますよ。」
と紗奈は答えた。一美の考えが伝わったのかもしれない。
それに、一美以外は驚きを隠せなかった。だが、一美には分かっていた。
「君には、もともとからではなく、父方の方に、ある能力が備わっている。それは、人の心を悟る能力ではないかね。」
それに、紗奈は、頷いて答えた。
「お見通しですね。正解です。」
紗奈は、表情を一つも変えていなかった。この女性、もしかして、
「緊張している?」
と一美は聞く。それに、紗奈は、答えた。
「緊張と言うよりは、発情しているかもしれません。」
霞と凛は顔を見合わせた。今、聞き捨てならない言葉を発したのに、一美はいたって冷静である。それは、紗奈が、どう言う人物かを図る為に、そのすべてをさらけ出してしまおうと言う覚悟を決めていた。

それより、静流は、罠から抜け出せなくなっていた。どうしてようか、それを考えながら、ただ助けを待つしかなかった。しかし、その罠をほどき、自力で一美の元に向かって、飛び出したが、罠をほどくのに時間がかかり、それ以外にも商団団員に姿を見られた為、一美の元に行くまで、時間がかかると考えた。
その時、紗奈が先に来ていると言う事を、全然、知らないまま、その足を進めていた。
そんな事も知らない紗奈は、一美の能力を分析していた。それに、紗奈自身の体の衝動を抑えきる事が出来なかった。
実は、淫魔の特徴は、自分と性交したくてたまらなくさせるために、襲われる人の理想の異性像で現れると言う点にあり、その誘惑受けた人間は、誘惑を拒否することが非常に困難になると言うそうである。
それを抑えながらも、紗奈は、自分の衝動を抑える事が、できるまで堪えていた。
一美も、それにどうやって耐えようかと、考え込んでいる。それを見て、紗奈は、なんだか罪めいた事をしていたと考えているようであった。
だから、一美は、霞と絢音、凛を外して、外で待たせる事にした。その3人は、どうして、一美と紗奈だけにしたのか本当の所、見当もつかなかった。
「一美様は、どうして、紗奈殿と2人だけにしたのだろうか?」
絢音は、不思議になっていた。
「私にも、さっぱりです。一美様は、紗奈を1人の隠れた能力を引き出したいなら、わざわざ2人だけを部屋に残す事はしないでしょう。」
と霞が言い、次に凛が、
「おそらく、私の勘だが、もうひと組の暗殺集団が、どこかに隠れていると考える事が出来る。だから、これに2人でたち向かおうとされているのかもしれない。」
それは、どうだろうか、罠の本来の目的が何か、それを、霞と絢音、凛が考えていた時に、
「もしかして…、一美様は、刺客の侵入をあらかじめ想定して…。」
と霞は、口にして、慌てて、手で口を覆った。
「あの時もそうだったから、あり得るかもしれない。」
と凛が、言うしかなかった。あの時とは、一美が最初に襲われた時に、つまり、霞と絢音等が捕らえられた時にから、全てが始まったと言えるかもしれないのである。
霞は、どうして、自分が捕まったのかと言う事を考え直していた。
まず、多くの罠をくぐりきったが、どうしても、一美の部屋に来るまでは、相当な時間がかかっていた事を思い出した。
それで、その後も、一美は剣で防戦し、霞を捕らえただけでなく、他の刺客3人も捕らえたと言う事を知っていた。
それも、ある種の実験だったのではないか。そう、霞には思えていた。それに、一美を狙う刺客たちは、まだいると見ているのだろう。
だから、一美は、あえて2人にして、それが、一美の考えではないのか。その時、1人の女性が、飛び込んだ。
「お姉ちゃん?」
と声がする。それで、静流が合流したが、その後どうするか、そして、一美は3人を呼び戻し、
「再び、刺客をおびき出す。今度は、本気で襲ってくる集団がいる。それだから、今回こそが、宣戦布告すると言う事になるだろう。やるぞ!」
一美は、そう言うと、礼賦安などにも同じ事を伝えたのである。ついに臨戦態勢に入った。そして、この一連の暗殺未遂事件は、『紅巾』軍が一美たちに対しての宣戦布告となった。

その頃、徐州では、全てに失敗した『紅巾』軍の軍師野島義之が、体を震わせていた。
「なぜ、こんな事になったのだ。」
それは、義之にすらわからなかった。
「しかし、こうなった理由は、1つしかありません。同時に、この事態を好機ともとらえるべきかもしれません。」
と家臣の1人が述べる。
それでは、何も対策が必要になるのではないかと思う。だが、その対策を全く打てない。そこで、義之は、
「宣戦布告する。広州を奪うしかもう手はない。奪うしかない。これが大変であろう。」
と述べると、もう1人の家臣が、
「それに、おかしな話が、たくさんあります。広州の軍は、へんてこな能力を持つ人間が、多くなっております。」
と述べた。さらに、別の家臣からは、
「しかし、巨大な商団である『北田商団』がいます。これが一体どういう意味をなすか、お分かりですか、この商団が、全てを為しているのですから、宣戦布告には反対です。」
と述べていた。実は4人目の人物の名前が残っている。その人物は、陳之内半蔵と言う人物であったようである。それが現実となるのは、それから5カ月後、実際に軍隊を整えた『紅巾』軍が出発するまで、彼らは、議論を重ねていたのである。
その睆城コロニーの領主である陳之内家は、元は陣内と書いていた。しかし、宇宙に入ってから、陳之内と名乗ったのである。
この時の、当主の半蔵はすでに病で、体がむしばまれていた為に、中華族同士が戦争状態に入る事は何としても避けたかった。それも空しいかもしれないが、彼は、老体に鞭を打ちはしたものの、戦争状態に突入し、これから約1年後、様態の悪化に因って、亡くなった。
この時、妻であった栄絵は、家臣たちと共に、戦闘には参加しないと言う意思を明確にし、戦線を離脱している。それに合わせたかのように、周辺16の地域が、離脱を決定したのは、それから2年後の事であった。
こんな事態が、来るとは知らない義之は、宣戦布告の手順の確認に奔走していた。その頃、福州はどうなっていたのかと言うと…。

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