タイトル:広州迎撃戦 10

一方、東にある福州では、大国大波に対しての備えを、固めなければならないという声が上がっていた。彼らが、この事を主張する主な理由として、この国家が、いったいどう言った事を始めようとしているのか。と言った危機感を、多くの者たちが抱いていたからである。
だからと言って、対抗策を出してしまったら、狙われてしまう。それに、この理由で「紅巾」軍は狙われてしまったのであるから、対抗策を出すにはまだ早いと福州政府上層部は結論を出している。
その対抗策とは、国境線防衛の強化である。何の変わった所がないこの話だが、これが、実は、大波からしてみれば、反乱に当たる話であり、それに対して討伐する権利を与えられていていたのである。
そんな話があったら、自分たちは本当に謀反人になるだろうと、そう覚悟をしていた。それだから彼らの覚悟は、死を覚悟した事だと言えた。
それに、かなりの代償も支払うと言った事も、彼らは、考えていたのである。それに、危機的な状況にある事も分かっていたのである。
そんな頃、福州の高田商団でもそのような話が何度も、会議で執り行われたのである。
「確かに、このような事態に陥ったのは、此国の怠慢が招いた事だと思えます。それに、我々はこの中で、詞をも覚悟せねばならない状況に、立たされております。皆さまからの忌憚な気意見を、お願いします。」
こんな状況から、どう言う意見が出るかを勇策は、なぜか自分の事のように、わくわくして聞き始めていた。なぜ、この会議を始めたのか、この会議から、この地区の軍隊を、どのように動かすか、勇策達が思っていた事である。
このような、事態を予想すると、軍がどう出るか分かったものではない。それゆえ、この会議を開く運びとなったのである。
「そうですか。ならば、この事態をどう収めるか、そう言う事ですな。」
とある男が答えた。小寺商団の客商となっていた兵頭直胤である。
「直胤殿、どうしたらよいのか、分かっておるのですか?」
それで、直胤は自らの考えを述べた。
「私たちはこの戦から、手を引かねばならないと言う事になりそうです。」
この一言は、どう言う意味を持つのか、
「どう言う事です?」
と質問した女性がいる。その女性の名前は、枚岡松代と名乗っていた。枚岡松代、後に小寺啓宗の従弟、小寺啓鷲を参謀とした第2次先発隊、A級巡洋艦と呼ばれる巡洋艦「厳島」の艦長として旅立つのだが、この時はまだおてんば娘の齢17であった。
「それでは、説明します。3点に分けて説明します。まず1点目は、これからの戦を考えた時に、敵の兵力差は大きく、今は戦力を蓄える時期と、私は考えております。2点目は、これからの戦うとなろう『大波』軍は兵器でも、我々を圧倒しております。その為に、我々は、各々の兵器も我々の武装を圧倒します。その武装に似合った戦い方をします。ですから、それらの事を考えた上で、第3点目は、我々の信用がまだ確立されていない点です。これには時間がかかるかもしれません。それをやらなかった『紅巾』軍は、わずか半年もたたぬうちに崩壊しました。それゆえ、我々は、力を蓄える事が必要です。」
確かに、そう思うべきであろうかと、松代は考えた。
「私もそうだと思います。確かに今は、事態を冷静に見守るべきです。広州では、戦闘が激しくなるのは、まず必定です。それだけではなく、多くの兵達が犠牲になると思います。」
と、この状態が異常であると発言した女性がいる。福間信子である。彼女も、後に、小寺啓鷲を参謀とする艦隊の部隊に、配属された人物として、戦線を指揮していくのである。それでは、このほかにも、小寺啓鷲とは恋仲になってしまうのである。
だからというわけではないが、どうも考えてみると、大波は、この反逆者達を一掃したいと考えている事ではないか。
恐ろしい事実にたどりついた時、彼らは、地の底から湧いてくる恐怖に、身が凍ってしまう思いを感じた。

その頃、広州と行きたいところだが、その前に、広州の北隣に位置する雲州の状況を見ていきたい。この雲州では、広西チワン自治州と連動して、国境警備を固めていた。
だが、事実上反乱に繋がる勢力の掃討のために、大波本軍が、直接広州に攻め込んでくると言う噂があった。
「さて、広州では、『大波』軍が攻め込んでくる、と言う噂が流れている。」
と口にした座波利宗は、そう考えてしまった。これに対して、大和啓宗は、紅茶を口に含みながらも聞いていた。
「そうか、噂はそこまで広がっていたのか、それより、我々はどうするべきなのかを考えなければならない。だから、この戦いは、私達の人生を変える事にもなりそうだ。」
それで、啓宗はその話に、利宗の人生がどうなるのか、気になってしまうような眼で見つめていた。
「どうしたの?」
利宗が聞くと、そうかと考えているのかと言うのがばれそうなので、啓宗は顔を赤くしてそむけてしまう。
「どうしたのだ? いつもの君らしくない。」
ただ、この後の啓宗と利宗は、益州にいる友と剣を交えなければならないと言う運命に立ち向かわなければならなかった。その事を、2人はこの時から感じていたのである。

それで、この雲州の対岸にある益州旅行門、または旅合門と言う場所に、駐屯する益州駐屯軍旅合門戦隊は、雲州の動きがどう言う事になろうとしていたのか、全く見えなかった。
そう啓宗達が、益州と雲州に、隔てるように建設した対岸の雲州権正門と、状関門、金禄門、軍徳門と言う4つの門に防波堤の役目を持たせたのである。
先端に突き出た州境に、この旅合門が配置されているのである。一側即発はまさに、このままでは戦乱を引き起こす砦にもなりかねなかったのである。
対岸にある啓宗の部下となっていたファーディナンドであった。ファーディナンドはこの雲州の北を防衛する為に、自ら志願してこの金禄門に駐屯していたのである。
実は、旅合門と対するのは、状関門と金禄門の2門となっているのである。だからこそ、ファーディナンドは益州の動きを注意深く見守っていたのである。
「ファーディナンド殿、お手紙が届いております。」
1人の秘書から、手紙を受け取ったファーディナンドは、早速その封を解いた。そこには、次のように書かれていた。
〈拝啓
この手紙の封を解いた時には、他言無用と為さるるべし。
大波の攻撃が、もうそろそろであろうと考えられるので、注意をしていただきたい。だから、これからも州境の変化が分かったら、すぐに知らせてほしい。
敬具     啓宗〉
その手紙を開いてから読むまで時間はかからなかったが、事が急を告げているとファーディナンドには、感じ取っていたのである。
それに、北側の益州の方でも、旅合門付近で部隊が動き始めたとの情報が、益州政府の高官にも伝わっていたのである。
これは大変な事になると、アマルフィは考え、自ら軍を率いてきたのである。それに、これに反応した軍もあるなど、徐々に広州がその中心にあると言う疑いを膨らます事になるのである。

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