復興に「頑張ろう」は禁物?

実際に復興には「頑張ろう」というメッセージがつきものです。しかし、そのメッセージが逆に、被災遺族に対しては、精神的な刃を向けてしまうと警鐘を鳴らす方がいるそうです。

被災者支援について調査・提言している関西学院大学教授で精神科医の野田正彰さんによりますと、3月11日(先月)の東日本大震災発生以来、2度被災地を訪れ、被災遺族などから聞き取りから分析した事によりますと、「復興ばかりに重点を置いて『がんばろう』を繰り返せば、遺族の疎外感と喪失感は強まる。復興支援は一番つらい遺族の視点に立つべきだ」と言う結論に至ったと言うそうです。

その理由を、ある宮城県の町を例にして、解き明かしてみます。

福島県境にある山元町。野田さんは山元町立坂元中学校の避難所を訪問したそうです。その時に、「家族全員が見つかるまでは」と震災後ひげをそっていない36歳の男性がいたそうです。
彼は、両親、祖母、姉の5人家族なのですが、そのうち男性だけが、なんとか避難できた様なのです。彼が語るには、「避難所にいれば、いつかみんなが顔を出すんじゃないかって。甘い考えだったかな。携帯もメールもつながらないんです」と。その彼の姉らしき人の遺体が発見されたのが、今月の上旬となり、そのDNA結果を待っているそうです。

また、仙台市の隣町に当たる名取市閖上(ゆりあげ)地区では、カーネーションの栽培農家なども被害を受けていたそうです。
63歳の男性は、自分の妻の行方が不明だと告げたそうです。その中で気持ちの整理がつかないと告白していました。

野田さんは、遺族は被災直後、家族を失った現実をなかなか受け入れられない。遺体が見つかり数カ月が過ぎたころ、喪失感に襲われる人もいるという。そんな時「遺族に寄り添って、悲しみを共有してあげることが大切」と述べております。

16年前の阪神大震災の時も、高齢者の方が孤独死したと言う例が、報告されており、孤独感が引き起こした記憶の底には、「親類、友人、愛した人の死」と言うのがあったのだと、私は考えてしまいます。
ただ、環境の変化も遠因にあると言った見方もありますので、正しいとは言い切れません。

最後に、野田さんは、「遺族ほど悲しみや苦しみに耐え、頑張っている存在はいない。周囲が死を見ないようにして『頑張ろう』と復興ばかり強調すれば遺族は『放っておかれている』と思う。喪失感は増し、最悪自殺という手段を選択させてしまう」と述べていることからも明らかなように、被災者たちに寄り添う事が重要だと言えるかもしれません。

つまり、私たちも被災者の心に寄り添う事で、乗り越えなければならない問題だと言えます。

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