2.26と類似した事件、トルコはどこへ?

本日の話題の2本目は、新規カテゴリ「今の社会はどこへ向かう」のお話です。だからといって、今回のお話は、日本だけのお話で終わらせるわけではありません。

なら「世界」としないのかよ。どういうことなんだ。説明しろ…。という文句が来るかもしれませんが、実は、ここ1・2年、日本及び周辺国では、大変なことが相次いで起きておりました。
ISのテロ、中華人民共和国の領土拡張、そういう問題を扱っていきます。その前に、一昨日に起きたトルコのクーデター未遂事件をお話します。

昨日のことですが、AFP通信が一昨日に起きたクーデターは15日(日本時間16日早朝)に発生し12時間にわたって続いた事件が起きていたことは、新聞報道及びテレビ報道で詳しい方も多いはずです。
実は、これに近い事件が、よりによって日本で起きていたとされておりました。実は今から80年前の昭和11(1936)年2月26日の帝都東京で、とんでもないクーデター未遂事件が起きたことがあったのです。実は、この事件の構造も類似点が多いのです。

その事件は、「2.26事件」です。ただ、実は相違点もあります。その相違点は3点あります。一点目は、「2.26事件」は帝都の主要閣僚(当時は岡田内閣【注意:現在の民進党代表岡田氏とは異なります】)が殺害されているのですが、今回のトルコのクーデター未遂事件では、主要閣僚は一人も殺害されたという記事が出てきておりません。実際に、警察及び軍の主流との衝突で、多数の死者が出ているという報道がされております。
もしも、閣僚の一人が銃弾に倒れていたとしたら、この影響は大きかった可能性があるといえるかもしれません。
二点目は、もともとの事件の鎮圧時間が、短いことです。実は、今回のクーデターが鎮圧されたのは12時間後、ところが、「2.26事件」は3日にわたるものです。そこからして、クーデターとしては異なります。
理由としては、「2.26事件」の場合は、日本国の新生、いわゆる「昭和維新」を考えていたのが背景に当たります。そして、国民にも何が何だかわからない、情報が分からないままという背景と異なる部分がもう一つあります。実を言うと、最後の三点目の項目です。
三点目は、国民との情報共有ができるツールが多くなるという多様化したメディア、そして、それに対しての国民の反乱軍に対しての呼びかけができるツールが増えていたことが背景にあります。
実際、某民間テレビを通じて、大統領のエルドアン氏は、国営放送のクーデター軍に対して、投降を呼びかけるのではなく、「クーデター鎮圧」を高らかと宣言し、このように呼びかけたのだそうです。

「私を支持している人たちは、すぐに街頭に出てクーデター軍に抗議せよ」

と、つまり、この多層化したメディアをうまく運用できなかったことが、実際に言うと背景にあると考えられていたというわけです。

同志社大学大学院のトルコ及びイスラム社会に詳しい内藤正典教授は、次のように指摘しております。

「クーデターに加担したのは、軍のごく一部にすぎない。」

と考えており、さらに、

「強権的な政治をするエルドアン大統領がトルコのイスラム色を強めることに対し、否定的な将校たち世俗主義派が起こした叛乱でしょう」

と考えていたのです。実は、隠れた相違点が、この部分です。「2.26事件」では、内閣を「君側の癇」と敵視したことが背景で、内閣を崩壊させてしまうという形が目的となったわけです。
だから、間接的に言うと、「政権崩壊」を意味しているというわけです。

ただ、内藤さんは次のように、指摘もしております。

「大半が支持をしなかった。与党AKPは支持率50%以上ある。それに1980年のクーデターで悲惨な目にあった世代は反発するし、当時を知らない若年層は、知らないから惹かれる理由もなかった」

まさに、『錦の御旗』になすすべなしという事態だったというわけです。
結果、笑ったのはエルドアン大統領なのかというと、それも異なります。結局、トルコが中東の重しとなっていたこともあり、安定していた政権として評価されておりました。また、EUとの連合と、NATO(北大西洋条約機構)の対テロ連合の重要拠点として、機能していたということになるのです。

これによって笑うのは、ISということになるというのが、内藤さんが指摘している点です。
内藤さんが言うには、

「地域情勢からすると、トルコは安定している唯一の国、いわば重しだった。その安定が損なわれていることを内外に示してしまった。どこもかしこも総崩れになってしまう」

さらには、

「EUにとっても危機です。トルコが受け入れてきたシリア難民が溢れたら、崩壊してしまう。トルコが弱体化していることで、ISがまたテロを起こす可能性だってある」

という話で、EUにも大きな被害をもたらしやすいという、そして崩壊しやすいという事態に危機感を共有しなければならないということから、今回のトルコのクーデター未遂事件は、EUでさらなるISテロを呼び起こすという危機感も、考えなければならない状況だといえるのかもしれません。

さて、最後に、この話の終わりとして、80年前に日本で起きた「2.26事件」の後話をして終わりとします。

実際に、「2.26事件」は、その後の日本の方向を決定づけ、軍政を敷くという事態を招きました。結果的には、太平洋戦争に進み、日本の敗戦の道をたどります。

今回のトルコのクーデター未遂事件では、ISというテロ組織が、復活してしまうのか、それについては、まだ何もわかりません。

これらがどのように、動くのか気になりつつ、見ていくしかないのが、私の考えです。

さて、次回の話は、今回の話で、EUが出てきましたので、「BREXIT」で揺れるイギリスのEU離脱問題に触れてみます。それでは、次回をお楽しみに。
(なお、この話は、シリーズ化します。第3回は、中華人民共和国の九段線問題です。)

※ 参考文献:「BuzzFeed Japan」7月1日配信「トルコのクーデター、失敗の理由は「二・二六事件」 EUや中東に深刻な影響も」
Wikipedia『二・二六事件』
を参考にしました。