タイトル:第三章 北田一美 09

戦線は意外と、政府軍側が不利となっていた。新性能の機体ばかりに乗っていたのである。だから、戦闘不能になる機体が多かったのである。
それだから、何度も投入しても、性能が劣る為に、次々と戦闘不能、または、撃墜されると言う事になっているのである。その海賊軍の使っている戦闘ロボットは、ウィンダムと呼ばれる機体である。
もともと、羽(Wing)とGANDAMを足した名前であり、ビーム系統のサーベルと、ライフル銃を持っているのである。しかし、それは、政府軍の戦闘ロボットジンクスにもあるが、背中に付けた装備で、ジンクスを圧倒しているのである。
彼らには、そう言った装備はなかった。そこに、ジンクスはおろか、海賊軍で使用されていたウィンダムのスピードすら凌駕する機体が、3機現れた。
〈な、なんだ?〉
海賊軍のパイロットたちは、戸惑う。その余裕すらない。一方、ジンクスのパイロットも、
〈どう言う事だ?〉
と戸惑った。
しかし、その機体に挑むものの、ウィンダムの性能と、どう言った形で成果が表れるのか、この1撃で決まるとも思えた。
その時、この機体の恐るべき性能が開花した。「ゼロフルクラムX1」の鹿島新次郎が、威嚇のために、ビーム系統のライフル銃から、光の矢を放ったのである。
それが偶然にも、海賊軍の一般のパイロットが乗るウィンダムの頭部に、直撃したのであった。頭部は粉々にされてしまい。他のウィンダムが、「ゼロフルクラムX1」に襲いかかってきた。
〈是より、戦闘行動に入ります。〉
新次郎が、「愛宕」に通信連絡を入れて、事態の級を知らせる。それに待っていましたとばかり、「スカイフランカーX1」が参戦した。
海賊軍の戦闘用ロボットウィンダムの数は30機、それに対して、一美たちの乗る機体は10分の1の3機しかいない。もはや、数では勝てないのにもかかわらずだが、それを度返しして、3機は奮戦したのである。


バスタードガンダムのコクピットの中で一美は、ウィンダムの数を数えていた。
(まだ、出てきていない機体がいる。)
そう睨んでいた。しかし、なかなか、思うようにはいかない。しかし、一美の見当は当たっていた。他に10機ほどが、追加派遣されてきた。
それを以って、追加された機体に対処する。まず、ビーム系統のライフル銃を構えて、銃口を敵側に向ける。そのまま、引き金を引くと、ロボットの指が自動的に動き、そのまま、光の矢が飛びだした。
それが、ウィンダムの手首に吸い込まれ、1機の右手首を破壊。そして、それを2,3発続けて撃ち、右手首にすべて命中させた。
接近戦の為に、ビーム系統のサーベルに持ち替えて、接近戦に挑む、そんな中で、一美は恐怖と闘っていた。

(こっ…、怖い! こんな事をしてでも、自分は生きなければならないのか、はぁ…はぁ…、こんな事で…、こんな所で、死ぬわけにはいかない!)
一美は、心の中で叫び続けていた。絶えず襲われる死の恐怖、そして、自分を育ててくれた親に対する申し訳なさ、そして、敵を撃とうとする闘争心がより洗練され、それが、入り混じっていたのである。
このまま、押しつぶされたら、自分が死ぬ。ここで死んではいけない。それが、一美の心を支えていたのである。
それだから、この戦いは自分の戦いだろうと思っていたのである。

外の戦いは、激しくなっていた。2機の試作機はビーム系統のサーベルを振るって戦っているのである。その中で、相手側も、ビーム系統のサーベルを振るうのであるが、戦いの中で、戦い慣れしている戦闘員が、試作機体に次々とやられていたのである。
これによって、一番楽をしていたのが、「大波」軍だったが、中にいた人物が、この機体の性能に着目していた。
「どう言った機体だろうか? この機体の持ち主を調べてくれ!」
と部下に指示した。武官の名前は、友沢宗徳で福州の出身の男であった。その独特の風貌は、多くの武官からは、「仏の武官」とも呼ばれていた。この時、演習中に海賊軍と激突していたのである。その時に現れた救世主に、彼らは、胸を救われた気がしたのだ。しかし、その3機が、次々と敵軍を斬っていくので、興味を示すにいたったのである。
だが、この男が、後に一美たちの元に加わるとは、本人は思っていなかった。

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