タイトル:第三章 北田一美 13

一方、中型空母艦艇の建造は、新たに、広州コロニー地方政府から、防衛のための依頼があり、それによって、軍艦の造営を急いでいたのである。
第1番艦の「愛宕」に続いて、第2番艦「安芸」、第3番艦「愛鷹」、第4番艦「穴水」と商船用建造艦船に加えて、第5番艦「浅間」。それに、地方政府からの要請により、第6番艦に「天橋立」、第7番艦に「阿武隈」、第8番艦に「渥美」、第9番艦に「奄美」、第10番艦に「足摺」と艦艇の建造を頼んだのである。
どうして、地方政府が、このような事をしようとしていたのか…。理由はいくつかある。
まず、地方の情勢悪化により、反乱の可能性が大きくなった事、それがあげられる。次に、多くの海賊軍に対する防衛を意識した為と言う事である。
次に、災害に関しての救援などがある為に、建造した方がよいと考えたからである。またまた、物資の輸送にも重宝すると言う点でも、彼らにとっても、得だったのである。
「愛宕」などとも共通した武装であったからこそ、こう言った量産体制が、可能だったのである。
「それで、10番艦まで建造したまでの金額は、どれぐらいになる?」
武信は、堅い顔になって武彦に聞いてみた。
「ええ、10億オンスになります。」
400兆円に相当するから、大きな出費になっている。そこから、商団の資金は30億オンス―1200兆円―だから、3分の1を消費したと言う事に他ならない。
「そうか、致し方のない出費か…。」
呟くように言った。それでも、大金と言えば大金であり、10億オンスと言えば、自己資本の3分の1と言う事で、その半分の5億オンスは、相手持ちだから、実質は5億オンス―20兆円―しか出していない事になる。つまりは、約6分の1の自己資本を投入すると言った事になる。
「なるほど…。それだとしたら、一部は地方政府が方を持つと言う事か…。」
武信の呟いた事に、武彦は反応していた。まさか、自らの娘が、反乱軍の大将として、中華の復興を掲げるまで1年。2人にはこれから起こる事に、耐えなければならなかったのである。

それより、海賊軍の分析をしていたこの男、友沢宗徳は、なぜか「大波」軍に除隊命令を出して、一般人に戻っていた。しかも、海賊軍をどうするか、あの時に、気になった人物である一美が、その答えを持っているのかもしれないと、考えるようになっていた。
そして、一美の元に来たのである。何だろうか、彼の気持ちは、どうなのだろうか。しかし、彼女に会うには、どうすればよいのか。
まず、貴族の仁部友家の元を訪れる事を考えた。まず、仁部友信義にあってみた。
「それで、君は上司達の事を、あまりよく思っていなかったという事か…。それで、君は海賊軍の戦闘の出来事を機に、軍をやめたと言うわけだな。」
仁部友信義は、このように言った。
「その通りですが、どうしても、一美殿の考え方は…、どんなものでしょうか?」
それを聞くと、
「なら、本人に会ってみるか?」
すぐに、「えっ」と顔を、信義の方向に向ける。それが、どう言う事か全く分からない。
「娘が、友達であってね、だから、2人に会見を設定してもらったら、良いかもしれない。それで、彼女の考え方を聞いてみてはいかがではないでしょうかね?」
それで…、
「考えてみます。」
と言った。
さて、どうするか、
(どうしようか…、一美さんと接触できる人物が、分かったが…、どのように考え方を知るのには、どうすればよいか。)
と考えた。しかし、何が起きているのか、調べてみようと思ったのである。
友沢宗徳は、すぐに、広州州立図書館に出向いた。調べる書庫は、中華関係の歴史書である。一美の思想の背景は、「大波」政権による政策判断の誤りがあったからだとも言える。
それは、商業でも、教育でも、社会でも、間違ったやり方をしてきたのである。
だから、こんな事になったのだろう。全く、政府は、何をしているのか、そう思いたくなってきたのである。それで一美は、防衛と称して何かを、しようとしている。一美は、何を目的に動こうとしているのか、それが、一美の考える事ではないか。
友沢宗徳はそう思った。

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