タイトル:第三章 北田一美 16

その頃、一美たちは、とある人物を訪ねる事にした。場所は、広州ライトレイラス地区と呼ばれるところである。そこに、ラフィ・エメラルディア家はある。そこに一美たちの訪問する人物がいる。
名はラフェリア、その人物が、一美に会いに行ったのである。中国の古典「三国志」には、次のような話がある。
劉備玄徳(蜀漢照烈帝)は、諸葛亮公明に会いに行くのに、3度にわたって、彼の暮らす家を訪れた。しかし、1度目は、晩秋の頃に行ったのだが、留守だった。2度目は、雪の降る寒い日に行ったのだが、留守だった。そして、3度目になってようやく、諸葛亮公明は、姿を見せ、天が三分の計を、劉備玄徳の前で披露したと言う逸話がある。
これを、後世の人々は、「三顧の礼」と言い、さらに「水魚の交わり」などの故事が生まれたとも言われている。しかし、乱世と言うのは、人を結びつけると言う事が、多いものであり、また、人の別れを最も多く描いた時代だと言えるのかもしれない。
したがって、一美たちは諸葛亮と言う人材に会いに行こう、と言うものである。しかし、本人はどう思うだろうか、一美は、ふと考え込んだ。
しかし、彼女の家の前に来た時、5人は思わず門を見つめた。質素な門だったからだ。
「この門が、彼女の家と言う事か…。それが、この家に暮らしていると言う事だろうか。」
一美は一度、周りを見渡した。そして、戻ってくる。確かにここだ。ここであっている。
「入ってみます?」
頷く、そこに入る価値はありそうだ。門をたたいてみる。しかし、
「へ、返事がない。留守かな?」
一美は、考えた。
「待ってみよう。来るかもしれない。」
しかし、それから数時間、待ったのである。
「まだ来ませんね。」
その日は、帰る事にした。結局、できなかったのである。
(会えないままか…。)

その翌日、一美はそれから2日後、一美は、再び彼女の家に行ったのだ。しかし、彼女はいなかった。留守だったのだ。
「困ったな。」
これは、長居になりそうである。考える事が、多いなあと思った。
それだから、待つに待ったのである。しかし、長居は禁物だった。何者かに狙われると言う事だろうか、一美は、そうだろうかと思った。
目を光らせている者がいる…。それに気付いた。
「帰るか…。」
そのまま帰るしかなかった。これで2度目だ、だが、そのラフィ・エメラルディア・ライト・セイラ・ラフェリアには会えなかった。
(困ったなぁ。)
この人物は、居留守を使っているのか…。一美は、そう考えたが、止めた。
一美は、その後、どのくらいラフェリアの家を訪れればよいのだろうか、その2回とも、ラフェリアはいなかった。それゆえ、一美が行っても無駄だと言う事になる。
その女性は一体どこに、一美は、探そうと考えた。
「どう言う事ですか? 私たちで探す?」
昭代はあきれた声を出した。こんな事を言うのは、一美だけかもしれない。
「そうよ。私たちだけで探すの。そして、ラフェリアさんにあって、彼女の考え方を聞いてみるの。それが、分かれば、彼女は、きっとしっかりした考えを持っている。私もその考えを聞いてみたいのだ。」
一美の意思は堅かった。

その頃、プリマス宇宙港を出発したスエズ運河経由、カルカッタコロニー行きの船の中に、ネギの姿があった。そのそばでは、オコジョのアルベールがいた。
「この港を出たら、すぐに大海原ですな。アニキ。」
アルベールは言葉を発するオコジョなので、普通の人が見ると、見えない声に動かされているという錯覚を覚える。
強いてみれば、不審者扱いされても不思議はない。
「この海原を渡った先に、東風吹きすさぶ中華の大地があると言うのか…。なんだか、どんな世界が待っているのか、わくわくするなぁ。」
ネギは、その後に、6歳年上の女性の部下になるとは思っていない上、国の大事をつかさどる役職に就任するとは思って思いない。
教員として、行くのであり、それ以外の事については、何も予期していなかった。言ってしまえば、9歳と言う年頃だから無理はない。先の先まで見通していると言うのは、彼にとっては、あり得ない事と言うべきであろう。
しかも、この広州に行くと言う事すら、運命のいたずらだったから、彼がどう言った事を成し遂げるのか、その時は分からない。
「ただ、気をつけた方がいいですえ、大波と反乱を起こす民族が、増えてきていると言うらしいですから、気をつけないと、それより、アニキ。」
アルベールの声に、ネギは、反応した。
「その、麻帆良学園と提携している商人の団体と言うのをご存知ですか?」
と聞かれて、ネギは、
「北田商団の事?」
と聞いた。
「ええ、その姫様が、世界を把握していると言われているそうです。その人は、男勝りの女性だとか…。」
そんな噂が、一美の遠く知らない場所で語られていた。一美は何も知らないまま…。

この記事へのコメント