タイトル:第三章 北田一美 18

しかし、呼び止められたのではないにもかかわらず、一美は、戻ってきた。なぜそう言う事になったのか、一美には分かっていた。
自分の中にある何かに気付いたと、一美は感じていたのである。それだから、一美は慌てて戻って来たのである。どうしても、聞きたかったのだ。
一美が本当に龍を抱いていたのか、それを確かめるために、一美は自分の母の言っていた事を、思い出して戻ったのである。
「私は、龍を宿す人物だと、母は私に語ってくださいました。しかし、本当に私が、龍なのか確かめてみたいのです。」
ラフェリアは黙って、彼女の話を聞く事にした。
一美が生まれる前、母親である小枝子は、一美を宿したまま、熊野詣でを決行したのである。その理由は、熊野権現と八咫烏の御加護を受ける為と最初に書いた。しかし、小枝子には、これ以外に、自分の子供の安産と、子孫を託すために、これが彼女の目的だった。
それが、早々と生まれた為に、近露王子で逗留すること2カ月と言う、事になっていしまったのである。
そして、小枝子が見た夢には、ある仙人が、と言うよりは仙人の顔をした男性が、一美が生まれる前に、こんな事を言ったと言うのだと話は続く。
「つまり、その時に龍を宿す者として、あなたとあなたの弟さんが、いたのだと…。」
とラフェリアは結論付けた。大体はあっている。しかし、その話には尾ひれがあり、
「実は、私の持っているペンダントは、刀剣で…。」
と一美が話を継ごうとした時、ラフェリアが、待ったをかけた。
「五皇黄天剣、正式名称は『三皇五帝黄天龍光刃剣』と言う剣、実際には、皇帝しか持つ事の許されない剣、それがどうしてここに、あるなんて…。」
次の言葉が次げないと言う事は、「あり得ない」と読むべきだろうか。ラフェリアは目を丸くして一美を見ていた。その間、数分、一美はじっとしたまま、ラフェリアを見つめていた。
どうして、こう言う事になったのか、一美は、ラフェリアの次の行動を、予測しようとした。しかし、予測できなかった。
一美は、ラフェリアの言葉を聞こうとしていた。
「あなたは確かに、龍を宿しております。」
ラフェリアの言葉には、混乱した様子はない。冷静である。そして、
「その龍は、あなたの中で姿を現すでしょう。」
一瞬謎めいた言葉だったが、それの理由は、
「あなたは、皇帝として、現在の政府と対決する事になるからです。実は、一つ気になっていた事がありました。それは、私が生まれた時の近所の人たちが話した事です。」
それが何だったのか、再びP.W.1594年に戻して、その事を突き止めなければならない。

P.W.1594年の一美が生まれた日に、天文観測所の測定した事に因ると、その時の天文に異常に光り輝く星が見えたのである。
地球の観測所では、突然光った星があった。とし、それについて詳細な調査をしている。その時起きた出来事は、遠くの銀河系で観測された「超新星爆発」であって、その光が数百光年離れた所から届いた事に他ならない。
しかし、その事を付近の人々は、救いの者が現れたと誤解したから、神の所に星が瞬いたと言われて、ラフェリアを手厚く育てられた。それは事実ではなく、育てられるはずだった。しかし、占いで神にはなれないと言う事が分かった為か、あの現象が何だったのか疑問に感じたのも、分かるような気がする。それが、何だったのか、今になっても、分からなかったのだが、一美がその答えを出したと言う事は…、
「あなたは、神にも選ばれた龍を持つ人物、そして、その光を同時に宿していると言う事も、これで事実となりました。」
次に、どう言う言葉が来るのか、一美は覚悟をした。
「あなたの力を、引き出してみたいと思います。どう言う事か、それを確かめるために、あなたの体を、調べてみたいと思います。」
どうやって…、一美は、考えを巡らせた。そして、ラフェリアは…、
「裸になってください。」
と一美に言ったのだ。どう言う事なのか説明がつかないし、どうすればよいのかさえ分からない。とりあえず、下着もすべて取り払い、真っ新な状態になった。
一美は、どう言った能力を持っているのか調べる上で、ラフェリアは、裸体に光を当てると言う奇抜な事をやろうとしていたのである。
しかし、そんな事をして、一美の何が分かるのだろうか、龍が光に反応するとは思えないし、それ以外にも、その光に関しても、並大抵の能力ではないはずだが、それを行う本当の理由とは、何だろうか。
一美は、気持ちを落ち着けて、待ってみる事にした。

それから、数分後、一美は何も着ていない状態にあった。体に光を当てられてから、それが消えるまでに時間がかかった。
「終わりました。あなたの龍は、とても強力で、今までとは比べ物になりません。」
比べ物にならないとは、何かあったのか…、龍の事だから、どう言う力を持っているのか、一美は聞いてみたかった。
そして、そう言われて、一美はどう言う能力があるのかを聞きたかった。
「もし、あなたが国を建てるのなら、あなたは、その国を統一するだけでは飽き足らず、その国と共に、多くの国を開放し、人々から英雄として祭り上げられると言った。事を成し遂げるのかもしれませぬ。」
そう告げた後、
「その国には、多くの人々から、英雄として讃えられるでしょう。それからその地域は、玄武の地、朱雀の地、青龍の地、白虎の地でも、歓迎されると思いまする。それと…、私は、あなたが、この国のみか、この東アジアを統一する君主になろうとしていると、私は思います。」
そう、答えはその事だった。一美は、それを知って考えてしまった。その思想がどう言ったものかを聞く為に、一美は、毎週、ラフェリアの元を訪れようと心に決めた。

それから数日、一美の足は再び、ラフェリアの住む場所に向いていた。今度は、昭代、クリフ、優香、仁部友姉妹を連れて向かったのである。
一美の考え方に変化が見えて来た。それは、新しい考え方をどんどん取り入れようと、変化し始めていた。それだけではなく、ラフェリアも一美の考えを聞こうと思って、自ら、考え方について、一美と議論をしてみようと言った意思が出て来た。
そして、この7人で話し合うのではなく、新しい考え方が生まれようとしていたのである。それは、「大波」の政治に批判的な人材を結集し、新たな国を作る為に基盤を整備する。
その上で、何かの事態が起きた時は、その最高指揮官を、1人の君主に委ねて、その地域を守る戦略を策定し、現政府が、逮捕を命じれば、その逮捕に関しての理由を聞き、改革を求める嘆願書が拒否されれば、理由をしたためた文章を出していくと言う事であった。
これが、後々に一美の立てる国の政府としての役割となるのだが…。実現するのはまだ先の話であった。

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