タイトル:「広州軍」北田一美 26

そこで、一美は重臣たちを集めて、会議を開く事になった。テーマはもちろんの事ながら、この国の今後の事であるので、それぞれに膨大な資料を持ってくるのに時間がかかったのである。
「やはり、膨大な資料が、重いですね。」
道源寺宗治は、悲鳴を上げているので、一美の部屋に間に合わせるのが、難しい。だから、4人で、資料を持って行っては、帰ると言う事を繰り返すので、なんだか気力が抜けかけたのである。
「と言うわけで、みんな揃ったと思うが、今回の事について、何を話し合うのか、分かっているかもしれないが、我々がこの国家を造る時に、何をどうするかの細部について、どう言った目標を立てるのか。それについて議論を求めたい。」
と一美が言い、議論を始めたのである。
「まず、政治面での考え方だが、議会制度については、さまざまな国家の事情によって、異なる為に、どの部分を生かして行くのかと言う部分について、議論を始めます。」
穂積が、その部分で仕切る事になった。最初に手を上げたのは、兼人である。彼は一美がチベットに行き留守をしていた頃、多くの大使館から情報を集めており、どう言った法律所があるのかを調べ上げて、一光と共に、この事について調べていたのである。
「それで、一番、この中華地域に合う、法律制度は、立憲君主制度を確立したイングランド、その次に、立憲君主制の最先端の法律を導入したイタリア、トルコ、スウェーデンの4地域です。また、ドイツ・オーストリアについては、参考になる制度もあるのですが、多くが、宗教に関する制約がついており、導入するには、それを撤廃する事が求められます。次は、一光殿。」
と結果の報告をすると、次の一光にバトンを渡した。
「次に、刑法などについてですが、一番参考になったのは、意外ですがトルコでした。この国家はイスラム教の影響を受けなかったようです。実は、トルコの国家では、人種に関する話はなかったと言う事が分かってきました。実は判例を父と共に、調べてみた結果ですが、人種に関する差別があったと言う話は聞こえなかっただけでなく、むしろ、キリスト教徒が犯罪を犯したとしても、その犯罪は、イスラム教徒と同様に扱っております。しかも、人種の関係においても差別はありませんでした。」
実際の判例でも、宗教の別についてなどは一切、区別がなく、量刑に関しても軽重の区別がなかったのである。それは、トルコだけでなく、イングランドでも、量刑の区別はなかったのである。これは、『大波』の制度と比較すると、両国が如何に進歩していたのかが分かってくる。
それに一美は思わずため息をついた。この国がいかに遅れているのかが分かるような気がしてきた。それで、この両国家の制度を取り入れる事が急務だと一美は気付いていた。さらに、新次郎が貿易制度の考え方についての報告を述べた。
「世界には万国法があり、これによって、我々はたくさんの貿易品を取引できる制度が整えられております。故に、それに則って、世界貿易機関と言う組織があるそうです。それを、英国が世界に呼び掛けておるとの事ですが、イランとオーストリアの両帝国が、乗る気ではなさそうです。それに、万国法は、民間組織で大半がこの法律を順守しているそうです。それゆえ、この万国法を基準として、法律を整えるべきです。」
確かに、それは事実だった。万国の共通の法律で取引ができれば、この国の商業は発展可能であると、一美は考えていた。
そして、次に、この制度の、どのように中華地域に適応させるか、それが問題である。他にも医療関係に話題が上った為に、大森武弘が、それについての報告をしていた。
「私が調べているのは、医療制度についてです。特にヨーロッパ諸国の制度の高さは、群を抜いております。例えば、医療費に関しても、国庫からとか、税金を使うとか、それに関してはさまざまです。特に、北欧諸王国では、福祉対策税と言う納税システムが確立されており、王室もその例から漏れる事がない代わりに、病院を低価格で利用できるというシステムがあると言われております。また、ある国では、保険制度に変わる年金システムがあると言われておりますが、現役世代が高齢者世代を支えると言うシステムを採用していた旧日本国では、記録ミスなどなどの諸問題が浮き彫りとなり、年金システムが根本から崩壊すると言う事態を招きました。故に、この北欧のシステムは、我々が暮らしているシステムとは異なり、租税などを見直すきっかけになると考えられます。」
大森武弘の考え方は、一美たちを納得させるものだった。ただ、それ以外にも、
「それ以外にも、注目したのは、医療費は平等に課されると言う事です。これは、宗教宗派や人種による差別を受ける事がない、と書かれていて、それが、民の権利でもあると書かれている法律が多かった事も分かってきました。」
と付け加えた。つまり、誰でも医療を受ける事が出来ると言うのだ。
これに対して、今の『大波』の現状は、先ほどあげたとおりで、宗教的な差別が蔓延し、医療費症状などにも差別があると言う所である。
さらに教育面では、ネギと共に、一美と会った近衛木乃香と、その隣にいた人物が、ネギの通っている中学校で、一番、頭脳の切れる雪広あやかと言う人物が、報告してくれることとなった。
「一美様、お初にお目に掛ります。雪広と申します。」
と自己紹介した後、
「教育面について調べてみました。その教育面の中で、特に、イングランドの教育制度は、一番高いと言えるかもしれません。この教育制度の中で、イングランド以外で、注目した制度が、北欧の教育制度も、整えられたものが多く。近代国家の領域に達している物が多いのも特徴です。さらにですが、特徴的な制度として、メンター教育制度、それから、落ちこぼれをなすく為に、理解度の低い生徒の専門のクラスなどを設けて、多くの生徒に就学の門戸を開く事が必要と考えるべきです。」
現状では、中華族の就学率が低く抑えられており、代わりに、イスラム教徒は優遇されているという現状が、報告されていたのである。
「さて、続いてですが、産業に関しての法律を調べていたのですが…。」
と木乃香が言葉を継ごうとした時、そこに、どたばたと駈け出して来た人物が、荒々しく扉を開けていた。
「おっ、遅れました…。」
誰かと思えば、明日菜が資料を抱えていた。
「明日菜さん。そうあわててはなりません!」
とラフェリアから叱責を食らった。
「申し訳ありません。色々と調べておりまして、それで、産業構造については、それぞれで色々と、あり主に観光を主としている国々もあれば、軍事および製鉄、そのほかに軽工業など、さまざまです。それゆえ、何を主力とするかそれが問題となるのではないかと、考えられます。その中で参考となるのは、トルコでもなく、ヨーロッパ諸国の中では、アイルランド、その他にはロシア、日本などがあります。故に、日本とかでは、アメリカ合衆コロニー国から鉄鉱石を輸入し、それを輸出するという加工貿易を行っている所で、オーストラリア合衆コロニー国もそれによって、日本との貿易を支えているとの事だそうです。」
と明日菜は、一美に報告した。産業でも、諸外国の方が発展していると言う事を、一美たちは肌身で感じ取った。だからこそ、この国を変える事が、必要だと考えていたのである。

"タイトル:「広州軍」北田一美 26" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント